アスベスト調査
法改正の主な内容
石綿障害予防規則及び大気汚染防止法の一部が改正されます
国民の健康の保護及び生活環境の保全のため、建築物等の解体工事等に伴う石綿の飛散を防止する規制措置が定められています。
しかし、飛散性が相対的に低いことからこれまで規制対象ではなかった石綿含有建材(いわゆるレベル3建材)についても、不適切な除去作業を行えば石綿が飛散するおそれが判明しました。
また、解体等工事前の建築物等の調査における見落とし、作業における取り残しによって、解体等工事に伴い石綿を飛散させた事例が確認されました。
このため、こうした課題に対応し、解体等工事に伴う石綿の飛散防止を徹底する為、新たな規制措置が設けられました。
〈石綿含有建材の種類〉
規制対象建材の拡大
- 全ての石綿含有建材が規制の対象となります。
現状・課題
〈課題1〉
規制対象となっていない石綿含有成形板等(レベル3)の不適切な除去により石綿が飛散
主な改正事項
〈規制対象〉
全ての石綿含有建材に拡大
(現状の規制対象の除去作業(約2万件)の5~20倍増)
事前調査の信頼性の確保
- 事前調査の方法が法定化されます。
また「必要な知識を有する者※」による調査の実施が義務付けられます。(令和5年10月より施行)
※建築物石綿含有建材調査者又は、法施工前に日本アスベスト調査診断協会に登録されている者 - 一定規模以上の建築物等について、石綿含有建材の有無にかかわらず、事前調査結果を都道府県等へ報告することが義務付けられます。(令和4年4月より施行)
- ※規模要件
- 建築物の解体:対象の床面積の合計が80㎡以上
建築物の改修等:請負金額の合計が100万円以上
- 事前調査に関する記録を作成し、一定期間保存することが義務付けられます。
現状・課題
〈課題1〉
不適切な事前調査による石綿含有建材の見落とし
(見落とされた現場の都道・県等による把握が困難)
主な改正事項
〇 一定規模以上等の建築物等について
石綿含有建材の有無に関わらず調査結果の都道・県等への報告の義務付け
※環境省と厚生労働省が連携し電子システムによるコネクテッド・ワンストップ化。制度開始時より運用。
〇 調査方法を法定化
※必要な知識を有する者による書面調査、現地調査等
〇 調査に関する記録の作成・保存の義務付け
罰則の強化・対象の拡大
- 正しい方法で作業が実施されていない場合は、直接罰が適用されます。
現状・課題
〈課題3〉
短期間の工事の場合、命令を行う前に工事が終わってしまう
主な改正事項
〇 隔離等をせずに吹付け石綿等の除去作業を行った場合等の直接罰の創設
作業記録の作成・保存
- 有資格者による取り残しの有無等を確認することが義務付けられます。
- 作業記録の作成・保存が義務付けられます。
- 作業結果の発注者への報告を義務付けられます。
現状・課題
〈課題4〉
不適切な作業による石綿含有建材の取り残し
主な改正事項
〇 作業結果の発注者への報告の義務付け
〇 作業記録の作成・保存の義務付け
※必要な知識を有する者による作業終了の確認
アスベスト事前調査
石綿は、耐熱性、耐薬品性、熱絶縁性、吸湿性などの特性から、吹付け石綿として壁、天井、柱、はり等に使用されたほか、保温材、断熱材等に使われてきました。
また、この他にも波形スレート、石綿セメント板、仕上塗材などとして屋根材、壁材、床材、天井材、内外装の仕上材等に用いられてきました。
事前調査に際しては、石綿含有建材であると証明できたものだけを挙げればよいのではなく、各建材について石綿含有の有無を書面調査や現地での目視調査により確認し、石綿含有の有無が不明であれば分析により判定する、もしくは石綿ありとみなすことが必要となります。
事前調査フロー
書面調査及び現地での目視調査
設計図書等を確認し、書面上で石綿含有建材の使用場所等を把握します。
その後、現地において設計図書と異なる点がないかを確認するとともに、建築材料に印字されている製品名や製品番号等を確認し、石綿含有建材データベースとの照合などにより石綿含有の有無を判断します。
弊社では、建築物石綿含有建材調査者資格を有する者で調査を行います。
分析調査
書面調査及び現地での目視調査で石綿含有の有無が把握できない場合に、現地にて当該建材を採取し、分析調査を行います。
弊社では、(公社)日本作業環境測定協会の石綿分析技術評価事業において合格認定を受けた者が所属する、専門の分析機関へ分析依頼を行い、含有の有無、成分の検査を行います。
事前調査記録・報告書の作成
事前調査の概要を記録し一定の期間保存します。
また、調査結果やその他必要事項を報告書にてご説明します。
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